企業は株価が価値なのか?
いわゆる株式の時価総額であるが、中小企業には必要のないものだ。
中小企業に必要なのは、現金。
利益をいかに追求するかが経営の本質であり、市場の数値に翻弄される借金だらけの企業は、アングラマネーの格好の餌食だ。

銀行、証券、保険、ゼネコン。これら業界は、15年ほど前は誰もが倒産するなんてことは言わなかった。今は「倒産しない」という経済の識者はいない。
だから、今のうちに言っておく。
借金まみれで利益を出せない、株価だけが高い企業は、いずれ破綻する。

↑(2001/1追記)
この文章を書いたのは、1999年末である。ネットビジネスが大流行、株価もどんどん登り始めたネットブームの中でナスカも転化していたのだが、現在は株価暴落や資金破綻による倒産もボチボチ出始めた。
内容自体は古くなってしまったが、折角書いたので、この文章は残しておくことにする。
ナスカ起業のきっかけ
自分が21歳の頃、不動産のディベロッパーでトップの成績を収めた際、とある事業家と雑談を交わした。
「自分は将来、1階に20坪くらいのテナントが5-6軒入るビルを建てたい。そこは全て自社の独立採算で現金商売、例えば花屋や本屋、ビデオショップを入れてゆく。2階はアウトソーシング系の会社が入るような事務所をいくつか入れて、家賃は抑え目にする分、業務提携を推進してゆく。もちろん、自前の資産管理会社も入れておく。その上の階は、学生向きの安いワンルームマンションを入れて、自分は最上階のペントハウスで気ままに絵でも描いていたい」と。

その事業家から「いいセンスしているから、自分でまずは会社を作ってみたらどうだ」という話を受けた後、仕事の関係で情報を手に入れた、赤字で潰れた店を二束三文で買い取って、ゼロ、もといマイナスの状態から店作りを始めた。
そして月日が流れ、今のナスカがある。
ナスカが目指すユニオン構想=コア企業としての権利金ビジネス
平成12年度から事業形態を改革し始めた。
立ち上げた事業そのものをコンテンツ(著作権)とみなした、権利ビジネスである。
イメージでいうと、ミッキーマウスという名の商売を考えて、試行錯誤で広めた後はその著作権によって何もしなくとも印税が入ってくるディズニーのようなものだ。

先の起業のきっかけをお読みいただけると、その流れを汲んでいることが、お分かりいただけると思う。
物販に代表されるような家賃・人件費・仕入れのリスクを回避できるシステムを作り出しており、もっとも大きな特徴は、税金と借金を限りなくゼロに近くしている点だ。
現物の在庫は資産とみなされて税金がかかるが、権利ビジネスは仕事の人脈、信用という無形のものであるから、税金がかからない。そのまま売上=利益の図式が成り立つ。

また、スタッフの給与システムも年俸制で動いているから、多くの企業がそうであるように税金やボーナスを支払うために銀行からお金を借りるような、おかしな常識は一切必要としない。

その証拠に、ナスカは今まで銀行や株式による資金調達は一切行っていない。
よって上場する必要もないし、目立つ必要もない。
あるのはプロ意識の高いスタッフと、毎月継続して入ってくる権利という名の現金だけだ。
ユニオン構想の概要
自ら描いたビジネスモデルを説明し、複数名の資産家・事業家などの出資者から、数千万-数億の出資を受ける。
そして各種の仕事自体は契約で結んだ企業と連携を取る。
連携企業は、既に10数社に上る。
立ち上げに要する期間は、短くて三ヶ月、長くても二年。出資者への還元も、完全に済ます。立ち上げた後は、その会社自体を第三者に転売、引き続き売上を継続してゆけるコンサルティング業務を通じて、権利金として利益の3-10%を頂く。

システム・法律・デザイン・制作・資金提供、諸々のパイプを繋ぐ触媒としての働きと、売上を構築する実戦肌のコンサルティングによってナスカのブランドイメージを高めてゆく。

この方式は、出資者を募り、俳優やカメラマン・監督を集めてヒット作を飛ばすという、ハリウッド映画のプロデュースに似ているかもしれない。
しかし映画と違って、それを実業の部分で行っているので、さほどリスクは少ない。
赤字企業を黒字に変える才覚が、ナスカのノウハウだからだ。

このユニオンビジネスを構築して、既に月額数百万単位での収益を上げている。
会社自体は第三者が回しているから、問題点を改善する提案を月に数回出すだけで、この金額である。
当面の目標は、向こう三年内に月額2000万円の権利金発生を目指している。
それも社員3,4名で、だ。

ナスカの中核ビジネスはブランド力を高める媒体の確保。
インターネットやフリーペーパーを中心とした自社運営の媒体を増やし、数多くのユーザーをかかえてゆくことがユニオンにとっての利点であり、ナスカとしては単純に「ユーザーの喜ぶ顔が見れればそれでオッケーさ」という、商売人としての願いでもある。
トップとしての仕事
あまたの問題を抱えている企業は、ユーザー不在に原因がある。
本来、企業のトップの仕事は、接待ゴルフやイエスマンのぬるま湯意見を聞くことなどではなく、ユーザーが持つ「経営者にとって耳に痛い意見をダイレクトに聞くこと」だ。

私自身、webmasterとして多くのユーザーと直接対話する。
手元に届くメールは一日数百通を越え、平行して掲示板のサポートなどもこなす。
議論も徹底的に行い意見・要望・クレーム、企業としての恥も全て公開して、情報を練りこんでゆく。
ユーザーからの要求、要望を自ら聞くことで、問題意識と危機意識を常に念頭に置いた運営を行っているから、致命的な問題を抱えたことがない。

地道な運営ゆえに社会的認知度は低いが、認知度の高さが一体何になるというのだ?
多くの知名度ある企業は、借金と売上不振にあえいで火の車の現状ではないか。
企業は「経営者の名誉欲」という名の、マスターベーションのためにあるのではない。
無謀な拡大路線をひた走り、過去の栄光と国民の血税にすがろうと醜い姿をさらす成れの果ては、あわれとしか言いようがない。

ユーザーと企業トップが、常に対等の立場でディスカッションできる状態を作り上げることで永続するビジネスとして成立させてゆく、これこそが経営の王道であると思う。